40 冬

 

丘の上にまぶされる粉砂糖

バケツの海で流氷さまよう

錯乱して歌う黒い鳥のおはよう

春に似せて磁界に漂う

ネオンは鳥を騙し人を狂わせ

ひとところ遊ぶ

薄白い早朝

 

ほらこの土の中に

一体いくつの宇宙があると思う

掌にミクロの集合体

乗せて差し出し

庭師の眼差し

未来の老人

ミミズの冬眠

ほらこれはもう春への準備

ライラックの小さな芽

太い指先から

伝染する柔らかな温度

もろい膨らみが

前進するゆるやかなテンポ

未来の老人

庭師の童心

ともにゆれる

癒やしの共振

 

未来と体温

錯乱の遊びなくして

どのように冬を

超えられようか

薄白いこの

冷蔵庫に閉じ込められて

 

 

 

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