37 十二月のスケッチ

 

知らない町の遠くの空を

夢みるたびに風が

ささやく

そこへ連れて帰ってと

帰りたい帰りたい

それなのにどこへ

帰れば良いのか分からない

哀しくなって

雲が流れてゆくその先を

そっと仰ぎみる

地平線へまっすぐ進む国道の

その向こうに小さな光を探す

発車する列車の行き先を

声に出して読む

それは

ただの文字列

帰るところはそこではないと

また知るために

車窓からこぼれる人かげを見送る

知らない町の遠くの空を

夢みるたびに風が

ささやく

そこへ連れて帰ってと