Tarot-rendition
タロット独自表現
T H E H E R M I T
わたしがもし小さなランタンのなかに星を閉じ込めて、その光でものごとの深淵を照らす役割を得られるのであれば、わたしは喜んで隠者となり、すべてから離れた遠いところ、深い青緑色の時空にて、ライトグレーのガウンを全身に纏い、ひとり静かに佇んでいるだろう、それをなんて孤独なのだ、孤独は耐えがたいと言って嫌がる人がいるだろう、世を捨てるなどなんてつまらないことだと笑う人もいるだろう、そして静寂を避ける人があるだろう、わたしは無論、孤高の静けさを愛する、孤高をおそれることはない、なぜならわたしの手にはお洒落で神聖な星の輝きがあり、その灯で深い世界を見通すことができるのだから。
J U S T I C E
自分の経験や知識のみで世界のすべてを判定し断罪し意見しているという愚かさにみずから気づいたとき、あなたは左手に天秤を持ち、右手に青い知性の剣をまっすぐ掲げているだろう、天秤は微かに揺らぎつつバランスを保ち、剣の尖った先は世界の真ん中を貫くように天をつく、その重力のなかであなたは自分の偏りを知り独断を捨てることになる、正義とは、偏りではなく中立からしか生まれないということを、右手と左手の重みから、知ることになる、みずからの偏りを知らないうちは、正義を語ることはできない。
T H E F O O L
知らない方が幸せだったということはままあるよね、それって真っ白な幸せ。一度知ってしまったらもう、知らなかった頃の無知な安全地帯には戻れないよ、何も知らずにいるってことは最強だよね、崖を超えた奈落の底へ、身構える必要もなく無邪気に歩みを進めるだけなのだもの、空中にね、みずからのつま先さえ見ないでね、それは無垢であり愚かでありそして羨望に値する、無自覚な勇者ってこと。真っ白な幸せは、よりどころないゼロの喜び、なんにもないという強さ、今から始まるみたいだよ世界が新しく、勇ましい愚者は白紙のうえに足跡をつけていく、それは知への旅立ち、宇宙の始まり。
24.6.2024
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