「なんで生きてるんでしょうかなんてそんな深刻な面持ちでアタシに訊かれても、答えようがない、だってそんな意味や理由なんてもともとないんだから答えを探すようなものでもない、ってそんなこと言うとほらそうやって絶望の淵にいますみたいな顔をしてなんて冷たい人なんだってこっち見るでしょ、だけどほんとにそうなんだもの仕方がない、でもアタシたち人間って存在の意味も理由も知らされずただ生き続けるなんて苦しくってやってらんないっていう本能的な考える生きものだからね、やっぱりそれについて何かは答えないといけないのよね、ほら、今さ、アタシがここから急に消えたらどうなると思う、びっくりでしょ、えってなって息とまって心臓乱れるでしょ、人間ひとり分の空洞ができた上に、アナタが乱れたら空気の流れも変わるわけよ、ここで空気の流れが変わったらそのせいで吹き飛ばされてる看板か布団かなにかがこの世界のどこかにあるはずなわけよ、今の一瞬、アナタとアタシがここにいて呼吸してることで世界の平衡は保たれてるわけで、たとえどこかでのんびり飛んでるミツバチ一匹でもこの一瞬に欠けてはいけない、何かが欠けたらそのそばから何かのバランスは崩れる、そうやっていま現在というエネルギーはうまく保たれてるわけ、けっこういつもギリギリなところでね、この世界ではいま現在がずっと続くんだから、エネルギーは常にうまく保たれてないといけなくってその一端をアナタもワタシも担ってるってことよ、え、よく分かんないって、もういいわ、とりあえず自分の存在というのはつねにこの今という世界全体のバランスを保ってるんだぞ、みんなそういう使命のもとに生きてるんだ、だからただここに存在して生きているだけで意義がある、森羅万象のバランスのために欠けてはいけない、欠けたら世界は崩れるんだって誰にも言わないけどジブンは影の勇者なんだって、ま、いいから信じていなさいよ、ね、それってなんか、かっこよくない？」
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