20 手紙

 

 

手紙

 

郵便配達人はベルをほんとうに、二度鳴らす。正午まえに黄色の制服。

保険会社からご希望のプランは審査に通りませんでしたと冷たい文面、封筒に閉じ込められたパルファンは事務員の手首から残り香。分厚い国際便、幼なじみの字、滲んだインク、めずらしい切手。母国の新聞切り抜きは日付入り、重なる便箋、東経135度北緯35度からの匂い。時流に染まらない、貫く私信、不変の筆跡。



 

 

 

 

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